いたずら狐の 「おちょぼさん」
の言い伝え話 |
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〈話その1〉
本郷町の妙蓮寺の裏藪には、オチョボさんという狐が棲んでいた。オチョボさんは、妙蓮寺にある妙徳稲荷大善神という神さまの守護狐で大のいたずら好きだった。
ある冬のこと、入江の製紙工場の女工である本郷町のナミちゃんは、一日の仕事を終えた帰り道に、アッタダルマ湯という風呂屋によった。汗を流し風呂屋を出るとすっかり夜は更けてしまっていた。本郷町の大地主望月さんの家の辺りまで来た時のこと、街灯がポツンと灯っているだけの真っ暗な道を、ナミちゃんの知っていいる女の人が赤ん坊を抱いて歩いてくる。
「あれ! 赤ちゃんあったの?」と、赤ちゃんを覗いてみると、それは目も口も無いノッペラボウの顔をしていた。ナミちゃんはすごい声を出して逃げ帰ったそうな・・・。 |
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〈話その2〉
ある年の大晦日のこと、ラムネやのアイちゃんは日本髪を結いに行った。髪結いさんが混んでいて店を出たときはもう年が明けてしまっていた。帰り道、妙蓮寺の門前に目をやると2匹の子犬がじゃれあっていた。するとその2匹が四匹に、四匹が八匹になりグルグル回っている内にスーット地面に消えちゃった。アイちゃんは背筋が寒くなって、家に飛び込んだそうな・・・。 |
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