４月８日はお釈迦様の誕生日にあたります。今年はちょうど当日に法要をすることができ、
多くの参列者と共にお祝いできたことをありがたく思います。

　お釈迦様には、誕生なさった時に有名な伝説がございます。
それは、お生まれになりすぐに七歩歩いて右手で天を指し、左手で大地を指して言いました
「天上天下唯我独尊（てんじょうてんがゆいがどくそん）」。

　聞いたことのある方が多いのではないでしょうか。
簡単に訳すと、この世の中で唯私独りだけが尊い存在であるという意味です。
勘違いを生みやすいのですが、この言葉は「俺は偉いんだぞ、みんな言うことを聞けよ」
と、いった傲慢な言葉ではありません。
もしそんな傲慢な方であればきっと現代まで教えは伝わらなかったでしょう。

　正しい意味は、お釈迦様が歴史上に人間として生まれたことを認識すると見えてきます。
「天上天下唯我独尊」という言葉は個人的な言葉ではなく、全ての人間を代表して言った言葉であります。
お釈迦様は、自分が尊い存在だと言うことで、同じく人間である私達も等しく尊い存在であるんだよ、
とおっしゃったのです。これは仏教の基本的価値観である平等の精神を反映したものです。

　ここで一つ余談なのですが、なぜ右手で上を指したかご存知でしょうか？
これにはちゃんと理由があります。
「右に出る者はいない」という諺をご存知の方も多いと思います。
『料理を作らせたら母の右に出る者はいないね』、というように使って、
母の料理が最上であることを表現しますね。
つまり右というのは上位、上座を表すのです。そういった習慣から右手が上というのは必然となるのです。

インドでは右手と左手を用途によって使い分けますよね。
これは右手を仏様、左手を我々とするからであります。
そのように右手と左手を意識すると普段何気なくしている合掌がより深いものになると思います。
右手と左手を合わせることで、仏と我々が繋がっている、我々と仏が一体となっている、
つまり成仏を表していると言われます。
このように意識すると、より気持ちを込めて手を合わせられるかと思います。

　少々脱線しましたが、もう一つ誕生の時の伝説をお話ししたいと思います。
お釈迦様がお生まれになった時、周囲の人々はもちろん、動物たちも祝いに
駆けつけたと言われております。

　更には大地からの祝福として無数の花が咲き乱れ、天からの祝福としては清らかな光が差し込み、
甘露の雨が降り注いだと伝えられています。
その情景をなぞらえたのが花御堂（下の写真）です。
この甘露の雨は、お釈迦様の産湯を表すことから子供の発育円満を促すとされています。
是非お子さんお孫さんを連れてお参りして下さい。

　花まつりは仏教徒の聖日です。
　花まつりをしているお寺を見かけたら、宗派を気にすること無く参拝に足を運んでみて下さい。

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