平成25年11月 3日 御会式(おえしき)お話


                         


題目三唱 (−人−)

本日はお会式ということでお話いたしますが、皆さんは「お会式」ってどうゆう日かご存知ですか?ご存じでない方は是非覚えて下さい。お会式とは日蓮聖人のご命日を偲ぶ日のことです、いわゆる日蓮聖人のお年忌法要です。

例えばおじいさんの年忌をやる時、どういった気持ちで手を合わせますでしょうか?亡きおじいさんのことを想い、手を合わせますね。こんなことしてもらって嬉しかったなぁとか、学んだことを次の世代に伝えなきゃなぁという思い、つまり感謝や決意をもって手を合わせますね。それと全く同じで、今日は日蓮聖人に感謝を込めて手を合わせなければいけません。

では感謝をしろと言われても、何をしてもらったか分からなければ感謝のしようがないと思います。日蓮聖人は法華経の行者であるとよく言われます。法華経に書かれている通りに教えを弘め、法華経に書かれている通りの法難に遭い、法華経に書かれている守護を受けました。それによって法華経というお経に説かれていることが真実である【証明】をしたのです。

皆さんは、今年流行しました「半沢直樹」は見ていましたでしょうか?半沢直樹は上司の不正を明かすために、色々な悪事の証拠を集めるわけですよね。言うならば、日蓮聖人は生涯をかけて、お経に書かれていることの証拠を集めていったのです。そして見事その身をもって法華経に書かれていることは間違いないと証明したのです。

それでは法華経には、いったい何が書かれていますか?中にはそんな難しいことは分からん、知らんという方も多いと思います。では質問を変えます。

法華経の中で、最も多く読むお経は何ですか?これならば法華系の信者さんはお分かりになるでしょう。そう『如来寿量品第十六』ですね。特に『自我偈』と呼ばれる箇所が有名かと思います。古来より「名は体を表す」と申します。ではこのお経の題名を順番に見て参りましょう。といいながら順番が前後しますが、まず初めに「品」というのは「章」という意味です。つまり法華経の第十六章、16番目の段落だよということです。

次に「如来寿量」とは?「如来」というのはお釈迦様のことです。「寿量」だけでは分かりにくいので字を補います。「寿命が無」これで分かりましたでしょうか。お釈迦様の寿命が無量ですよということがこの第十六章には書かれているのです。

さっそくお経を見てみましょう。もし法華経のお経本をお持ちの方は手に取って見てください。自我偈の冒頭です。

自我得仏来 所経諸劫数 無量百千万 億歳阿僧祇 ・・・このままでは分かりにくいので書き下しましょう。

 

【自我得仏来】われ仏を得てよりこのかた (私が悟りを得てから今日まで)

【所経諸劫数】経たる所の諸々の劫数 (どの位の時間が経ったかというと)

【無量百千万】無量、百、千、万   (千だの億だのどんな数の単位でも

【億載阿僧祇】億、載、阿僧祇なり   表せない程、無量の昔なのですよ)

  載=1044乗、阿僧祇=1056乗。どちらも数の単位

 

本来であれば、インドにお生まれになったお釈迦様が悟りを得てから法華経のお説教に至るまで四十余年であります。しかし寿量品には、永遠の昔から悟りを得ていると書かれております。つまりインドにお生まれになるよりはるか昔に悟りを得て永遠の命を持ってここにいるというのです。

では無量の寿命をもったお釈迦様がいるだけで満足でしょうか?それだけでは我々との関係は全くありません。次は自我偈の末尾を見てください。

 

【毎自作是念】毎に自らこの念をなす    (常に私はこう思っている)

【以何令衆生】何を以ってか衆生をして   (どうにかして皆さんを)

【得入無上道】無上道に入り速やかに仏身を (最高の悟りへと導き)

【速成就仏身】成就することを得せしめんと (成仏を得させたい)

 

お釈迦様は常に私たちを救おうと想いを巡らしてくださっている。つまり、お釈迦様は永遠の昔から私たちに救いの御手を差し伸べて下さっているというのです。

そうはいっても、私たちは永遠の命をもったお釈迦様のお姿を拝することができません。しかし、日蓮聖人が法華経を明かしたことで、我々は目で見て拝むことはできませんが、確かな存在と認識して永遠なるお釈迦様に手を合わせることができるのです。

目に見えないお釈迦様の存在を明かした、これがまず一つ私たちが日蓮聖人に感謝しなければいけないことです。もう一つのお題目を説いてくださった感謝はまたいずれお話しするとして今回はここまでで閉じさせていただきます。これからはお釈迦様の存在を存分に感じながら手を合わせていただければ、日蓮聖人もお釈迦様もお歓びになられると思います

 

         聴聞、ご拝読ありがとうございました。

              南無妙法蓮華経